「AIを使いこなしています」という経営者ほど、実はレベル4の手前で止まっている——。AI活用には16の段階があり、上達の最短ルートは「今の自分がどこにいるか」を知ることだ。本記事は、富山県でマジシャン事務所を経営しながら30以上の自作AIコマンドで会社を回しているコンプレッサーが、自身の試行錯誤を16段階のロードマップに整理したもの。2026年6月29日に高岡市で開催するAIセミナーのゴール「レベル4」を軸に、全体像を公開する。

なぜ「ツールの使い方」を覚えても意味がないのか?
結論:大事なのはツールではなく「AIの基礎力」だから。
セミナーの講師を引き受けて、まず考えたことがある。1時間という限られた時間で、AIをほとんど触ったことがない人たちに、何を渡すべきか。
ChatGPT、Gemini、Claude——ツールの操作手順を解説するのは簡単だ。でも、それでは意味がない。ツールは日々進化し続けていて、操作画面も使い勝手も数ヶ月で変わる。最近は「賢くなりすぎて、かえって扱いに戸惑う」モデルまで出てきたほどだ。
特定の操作を覚えても、すぐに古くなる。本当に大事なのは、自分の中に「AIの基礎力」を持つことだ。基礎力さえあれば、極論どのツールを使っても同じように使いこなせる。
マジックでも同じことがある。新しい道具を覚えるより、「相手が何を期待しているか」を読む基礎が効く。AIに指示を出すのも、まったく同じだった。
AI活用ロードマップ:16段階の全体像とは?
結論:大きく3つのゾーン、全16段階に分かれる。
いろいろな経営者と話すなかで知識を整理し、今回の講演に合わせて自分なりに16段階へ落とし込んだ。分類の仕方は人それぞれだが、これは「初歩から本格活用まで」を一枚で見渡せる地図として作ったものだ。
大きくは AIチャット活用 → AI本格活用 → AIエージェント活用 の3ゾーンに分かれる。
🟠 ゾーン① AIチャット活用ゾーン
| Lv | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 0 | AIをまだ使っていない | 「難しそう」「何を聞けばいいか分からない」「もっともらしい誤りが怖い」という段階 |
| 1 | AIに質問している | 質問や簡単な相談はするが、まだ検索の延長として使っている |
| 2 | AIに文章を作らせている | メール・案内文・SNS投稿・あいさつ文などのたたき台をゼロから作らせる |
| 3 | AIに情報を整理させている | 会議メモ・資料・PDF・文字起こしを読ませ、要約・分類・議事録化させる |
| 4 | 求める出力形式で出させている ★今日のゴール | 表・メール文・スライド構成・台本・チェックリストなど、欲しい形で出力させられる |
| 5 | 音声入力でAIと会話している | キーボードだけでなく、音声で会話しながら考えを整理・文章化する |
| 6 | コンテキストを残し、渡せるようにしている | 相手・目的・背景・条件・見本・判断基準を残し、次のチャットへ引き継ぐ |
🔵 ゾーン② AI本格活用ゾーン
| Lv | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 7 | 仕事のインフラとして使い始めている | お試しでなく自己投資として有料プランに課金し、上位モデルや深い調査を活用 |
| 8 | 自分のクローンを作る感覚がある | 自分の考え方・文章のトーン・判断基準を渡し、代わりに文章を作らせる |
| 9 | 複数AIを戦略的に使い分けている | 目的・精度・速度・障害時のリスク分散まで含めて使い分ける |
| 10 | 画像・音声・資料もAIで扱っている | 画像生成・画像分析・文字起こし・資料読み取りが実務に入る |
| 11 | プロジェクト機能で継続的に使っている | 単発で終わらせず、案件ごと・業務ごとに継続的な仕事場を作る |
🔴 ゾーン③ AIエージェント活用ゾーン
| Lv | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 12 | AIエージェントに仕事を任せ始めている | 答えをもらうだけでなく、目的を伝えてまとまった作業を任せる |
| 13 | 得意・苦手・接続の必要性を理解している | MCP・API・外部ツールと接続すればできる範囲が広がると理解している |
| 14 | AIと外部ツールを接続して仕事を動かしている | メール・カレンダー・スプレッドシート・社内資料と接続し、業務フローに組み込む |
| 15 | 複数のAIエージェントを同時に動かしている | 調査・資料作成・チェックを並行させ、自分は方向性と最終判断に集中 |
| 16 | AIアプリや業務システムを作って運用している | AI前提で仕事の仕組みそのものを作り替える |
ちなみにコンプオフィスでは、経理・SNS発信・出演管理までこのゾーン③で動かしている。その具体例はマジシャンが30以上のAIコマンドで会社を回している話にまとめた。
なぜ「レベル4」を最初のゴールにするのか?
結論:欲しい形で出力させられるようになると、AIが一気に「実務の戦力」に変わるから。
正直に言うと、「めちゃくちゃAIを使いこなしています」という人と話しても、その多くがレベル4まで来ていないように感じる。質問はできる、文章も作らせている。でも「自分が欲しい形」で出させるところまでは届いていない。
レベル4は、箇条書き・表・メール文・スライド構成・台本・チェックリストなど、自分の業務で本当に使える形にAIの出力を整えられる段階だ。ここを越えると、AIは「面白いおもちゃ」から「毎日使う道具」に変わる。
だから今回の初歩セミナーは、このレベル4を一旦のゴールに設定した。まず自分の現在地を知り、この先どんな未来が待っているかが見えること。それが最初の一歩として一番大事だと考えている。
主催者が「経営者こそAIを」と語る理由は?
このセミナーを主催する高岡市倫理法人会の竹平雄式 責任幹事は、開催にあたってこんな思いを語っている。
生成AIは単なる便利なITツールではなく、企業が生き残るための前提条件になりつつある。印刷、蒸気機関、自動車、インターネット。時代を大きく変えてきた技術と同じように、生成AIも世の中を根底から変えていく。これからは「知っている人と知らない人」「使っている人と使っていない人」の差が、かつてないスピードで広がっていく。
竹平氏が「経営者こそAIを使うべき」と考える理由は主に2つだという。
ひとつは、経営者の「右腕」として。新規事業のアイデア出しから、世の中のニュースが自社にどう影響するかの分析まで。一人では気づけない多角的な視点を、いつでも提示してくれる。
もうひとつは、「スピード」への対応。周囲がAIを使い始めれば、世の中の変化はさらに加速する。その波に飲まれないためには、自らもスピードに対応する術を身につけるしかない。
同時に、AIは決して万能ではない。できることと、できないことがある。技術の発達によって、これからの経営者に求められる「能力のあり方」そのものが変わり始めている。だからこそ、まずは知ることから始めてみませんか——というのが、このセミナーの出発点だ。
セミナー概要(2026年6月29日・高岡市TASU)
「経営者のための 初歩からのAI活用プチセミナー」の開催概要は次のとおり。
- 日時:2026年6月29日(月) 19:00〜21:00(受付開始 18:45)
- 会場:TASU(タス)/富山県高岡市御旅屋町101 御旅屋セリオ4階
- 対象:主に中小企業経営者・個人事業主の方(どなたでも参加可)
- スケジュール:19:00〜20:00 プチセミナー/20:00〜21:00 交流会・質問会
- 参加費:プチセミナーのみ 2,000円(ノンアルコール)/3,000円(アルコール)、交流会・質問会へも参加の場合は +1,000円
- 持ち物:普段お使いのノートパソコン または スマートフォン(実際にAIを体験しながら学べます)
- 主催・お問い合わせ:高岡市倫理法人会/Tel. 090-7081-5832(担当:竹平)
申し込みは主催の案内フォームから。経営者・リーダー・個人事業主・フリーランス、AIに興味のある方はどなたでも歓迎だ。
マジシャンとして、AIをどう見ているか
マジックは、目の前で起きていることが頭の理解を超える瞬間に、人の心を動かす商売だ。生成AIを触り始めて感じたのは、これが現代のマジックにとても近いということだった。
1分前まで考えていなかった作業が、言葉で頼んだだけで形になる。その驚きを、富山の経営者の方々にも体験してほしい。技術解説を聞いて終わり、ではなく、「自分にもできるかも」と思って帰ってもらえる時間にしたい。
まずは地図を広げて、自分の現在地を確かめるところから。AIマスターへの第一歩を、6月29日、高岡で一緒に踏み出せたらうれしい。